yoshiyanoblog

滋賀県出身の社会人による備忘録。

中国は重慶大学に行く。

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 9/7~9/21は中国国立大学インターンシッププログラムで重慶大学に行ってきました。中国のことを特に詳しい訳ではありませんでしたが、興味はありました。しかしメディアにより少しネガティブな印象が先行していることや何か遠い存在に自分が感じていることに疑問を抱き、この度行ってまいりました。
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 重慶に着いてから、早速トラブルに見舞われました。それは持参したポケットwi-fiが使えなかったのです。かなり焦りましたが周囲の方に助けて頂き、大学へ向かうことができました。
 中国ではLINEやYoutubefacebookinstagramなどアクセスを規制されているアプリもあり(VPN接続をすれば使用可能)2週間の間、日本の情報には一切触れることができませんでした。今回の旅ではある意味それがポジティブに働き、中国の生活に集中できました。この時代、やはりスマートフォンが使えないことは不便でした。
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 話はさておき、インターンシップでは大学生や院生、教授と幅広い年代の方と交流し、主に2つのことを経験しました。
 1つ目は、日本語教育に関する授業をしたことです。はじめて授業というものを持たせて頂きました。下の写真に写る青いポロシャツを着ている方は日本語の先生です。先生は重慶で生活する日本人の方です。先生からは教師目線での授業の創り方、話題の拾い方などを教えて頂きました。授業のフィードバックとして、扱う内容を如何に学生のレベルまでに因数分解し、わかりやすく伝えるかということを指摘されました。これは日本に帰っても転用できることですね。
   9月は中国にとって新学期です。先生は導入部分である第1回の授業で生徒に向け「何故、重慶大学で日本語を学ぶか」を問うていました。私にとっては非常に印象的なやりとりでした。
 先生の授業も拝見させて頂く時間もありました。授業では重慶大学の先生と生徒の距離感が近く、両者の楽しそうな、且つ真剣な雰囲気はまた自分が日本では見たことのないものでした。
 
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   2つ目は、学生時代や教育、文化、未来、歴史そして政治をテーマに対話をしたことです。それぞれのテーマに関する意見を共有しました。
   私達日本人学生と中国で生活する学生の大きく異なる点は中学高校生活です。日本には部活動の文化がありますが、中国では部活動というものはなく、多くの学生が勉強に努めるそうです。朝の8時半から22時まで勉強という生活を何年も送っていた、と聞きました。日本でも受験戦争という言葉は聞きますが、圧倒的に中国の現状の方が大変であることが伺えます。中国の人口は14億人と言われ、その分エリートと言われる大手就職や公務員の席は限られています。皆が必死に勉強しレベルの高い大学を目指し、また大学でも猛勉強している姿を見ました。
 このような過酷な受験戦争の実態を重慶大学の教授は危惧していました。幼少期からレベルの高い大学への進学を念頭においた教育は座学を主とする勉強が多いのです。自然と触れ合うことや自分の興味関心に素直にいられる時間が発想や創造に繋がる。その時間を大切に大きく成長してほしいと、話されていました。
 
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 重慶での生活で得た気づきは、多くの学生がそれぞれの個性に価値があることを前提に対話をしており、意志ある発言を受容する文化があることです。だから皆、自分の意見を伝えますし、伝えることができるように見えました。授業内でも積極的に自分の意見を主張する姿勢をよく見ました。強く印象に残っています。一見、みんなが自己主張すると話が収束しないだろうと想像していましたが、そうではありませんでした。意見を出し合い、その上で最適案を選択する。現地の学生は日本語で「 個性は寛容を強調する。」と表現していました。その上でいいものはすぐに取り入れ実践する意思決定の速さが電子決済や車・自転車のシェアリングなどの世界の先端を走っているのだと感じました。
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インターンシップを通じて、改めて自分が都合よく物事を認識していることに気づきました。自分の眼鏡で判断しながらも常にそれを疑い、自分の眼鏡を捨てた視点を大切にすることを再確認しました。国というくくりや集合を個に当てはめて解釈することは、時として大きな誤解を生んでいるように思います。人それぞれであること。その視点を大切にします。
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また私が重慶に行った時期は重慶大学が今年90周年迎えることや、9月の中秋節、10月の建国記念日国慶節があることから、街はかなりの賑わいでした。この上の写真は磁器口(ツーチーコウ)という街並みを撮ったものです。人は多いです。様々なお店が並んでいます。食べ物も多様です。重慶にいって、兎や蛙、ザリガニ、蛇などなどユニークなものを食べました。抵抗はありましたが、美味しかったです笑
 
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重慶はとてつもなく大きい都市(北海道と同じ)で、車で数時間走っても周りは高層ビルでした。いつ郊外に行くのかドライバーの人に聞いてしまうほどでした。これが発展なのか、と肌で感じました。数年後に来ればさらに見違える都市になっていることを容易に想像させました。ただただパワフルな都市でした。
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今回の旅を振り返ると、最大の価値は現地の人との濃密な日本語での交流にあります。私のような第二言語が流暢ではない者であれば、何か表現しずらいことは質問できず表面的な付き合いになりがちですが、日本語であればかなり深い対話が現地の方とできました。時には言葉を慎重に選んだりと手に汗握る瞬間もありました。しかし最高に充実した時間を生みました。
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重慶で出会った皆さんは、日本から来た私にその土地ならではの習慣や生活、物事の捉え方、価値観を詳細に教えてくれました。皆さんのことを私に教えて下さり、本当にありがたかったです。皆さんからの優しさや温かさを受け、大切な友人ができ、アイデンティティが中国にも生まれました。皆さんと出会い交流したことで、新しい自分とも出会うことができました。
   今後も、この縁を大切にしていきたいと思います。そしてまた重慶に来ます。重慶で出会った皆さんと自分とでどのようなことができるかを考え、今度は自分が形にして還元していく。そのような営みを日中間の懸け橋としても、繰り返していきたいと思います。
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下記は私が参加した「中国国立大学インターンシッププログラム」のURLです。是非、多くの人にこのプログラムの存在を知って頂きたいですし、参加して中国へ行ってほしいという想いが本心です。いつでも自分経験した範囲で質問にはお答えしたいと思います。
 
【中国国立大学インターンシッププログラムHP】
 
 
 
 
 
ー草野吉耶