人材となる前に。
僕は最近まで就活生だったので、人材という言葉をよく聞いていた。
そこで、忘れてはならない事がひとつあると思ったので書き残しておく。
それは全員が、人材であるまえに、ひとりの人間だということだ。
僕は「人材に成ろう」とするひとを、多くいるように感じる。
人材になろうとすると、ただでさえ分からない自分を、さらに見失うのではないかと思えてならない。
「いい人材」だと思ってもらうために自分を装うことに、苦しみは伴わないだろうか。
僕は伴う。
その理由は自分の過去にある。
学校内のコミュニティで役割や居場所がなくなる方がしんどくなるだろうから、自分のことを見て見ぬふりをして、自分をつくろう。
そんな日々を過ごしたことがある。
その時間は心の豊かさに全く繋がらなかった。
こんな窮屈なことは他にはないだろう。
苦しい日々が続いた。
「いいやつ」だと思ってもらう。
もちろん、他者の中にいる自分がどうでもいいわけでは決してないが、それ以上に自分のことを大切にすることは大事だと思う。
僕は他者の中にいる自分に依存して苦しむくらいなら、自分に依存することを選ぶ。
自分の声を聴けなくなってしまうことのほうが恐ろしいからだ。
自分の声が聴こえるから、相手の声も聴こえる。
自分へのリスペクトがあるから、相手のこともリスペクトできる。
自分のことも相手のこともリスペクトしてる対話だからこそ、心と心がぶつかり、そこには価値があり、意味がある。
草野吉耶